なんで外反母趾になるのか?
外反母趾に悩まされている方は少なくないと思います。
親指が傾いてしまった状態が外反母趾ですが、実はこうなるには様々な理由があります。
親指が傾いてしまう原因としてまず思いつくのが先の細い靴などを履くことで指先が締め付けられる、ということでしょう。
もちろんこれも大きな要因の一つですので、改善すべきポイントであることに違いありません。
しかしながら他にも原因となりやすい要素があります。
今回は見落とされがちな二つのポイントをご紹介していきます。
1.足のうらの外側にあるアーチが下がっている
まず最初に注目すべきは、足の骨の並びです。
足の甲や足の裏を構成する骨は、付け根のところで石ころ状の骨が集まることで足を形作っています。
この石ころ状の骨の位置がずれてしまうことが外反母趾を引き起こす要因になります。
どういうことか順を追ってみていきましょう。
①立方骨が下外側に落ちて外側縦アーチが崩れる
足の小指側にあるアーチの頂点が下がってしまいます。
足の内側には土踏まずがあり、こちらは内側のアーチとも呼ばれわかりやすい形状をしているのですが、実は足の外側にも僅かながらアーチがあります。
ご自身の足の裏をよく観察してみると、小指の延長線上にも浅いアーチがあるのがわかると思います。
このアーチの頂点に位置するのが立方骨です。これが図の①のように外側、下側に下がってきてしまうことがあります。
②足根骨が外にスライドする
立方骨がずれてしまったことによって、その隣にある石ころ状の骨もずれてしまいます。
ここには楔状骨(けつじょうこつ)という三つの骨があるのですが、これが順に外側に移動してしまいます。そうして足根骨が全体的に外にズレてしまいます。
③第一中足骨が内側に傾く
楔状骨がずれてしまうと、一番内側の楔状骨につながっている親指の根元の骨、第一中足骨は足場を失なってしまいます。そのため内側に傾いてしまいます。
④親指が曲がって赤丸の箇所にストレスがかかる
その結果、靴を履いたり歩いたりする際に指先の関節に内側から圧迫がかかるようになり、親指の付け根の関節が折れ曲がってしまいます。これが外反母趾です。
このような足部のアライメント不良はかなりの確率でみられます。
曲がったところを真っ直ぐにする前にまずは立方骨を調整して外側縦アーチをしっかりと作る事が大切ですね。
そのためにテーピングを利用するのが有効ですので、巻き方の一例をご紹介します。
ここではキネシオテープに代表される伸縮性のあるテーピングを使用します。
50ミリ幅のテープを半分の25 ミリ幅に切って2.5マスと2マスの2本を用意します。
もしくは25ミリ幅のものを別に準備して頂いても構いません。
この25ミリ幅のテープを使って2.5マスを内に倒れた親指を矯正するように縦に貼ります。
2マスで親指に貼った箇所が剥がれないように上からとめます。
次に50ミリ2マスを3回ほど折り畳んで小さなパットを作り小指側のアーチの頂点に当てます。
そのまま50ミリ4.5マスを使って土踏まずの一番高いところのラインを横にサポートします。
動画のリンクを貼っておきますのでこちらを参考にしてください。
2.つま先が外側を向いている
次のポイントとしてつま先の向きがあります。
外反母趾になりやすい方の傾向として、つま先が外側を向いていることが挙げられます。
つま先が外に向くと、地面を蹴る時に親指の内側を使ってしまう傾向があります。
こうなると親指が内側に傾きやすくなり、外反母趾を発症する一因となります。
人差し指で地面を蹴ると一番負担が少ないのですが、つま先が外を向くことで親指の内側で地面を蹴ると親指の関節に大きな負担がかかり外反母趾になりやすくなってしまうわけです。
つま先が外を向いてしまうのはいくつか要因があるのですが、代表的なものとしてはお尻の奥の筋肉が硬いということが挙げられます。
お尻の奥にある筋肉はつま先や膝を外に向ける働きをしています。
そのため、お尻の奥にある筋肉が硬くなるとつま先が外に向きやすくなってしまいます。
実際にお尻の奥をクッと力を入れて締めるとつま先や膝が開くのがわかると思います。
この中の番号をつけてある箇所がつま先を外に向けるときに働く筋肉です。
ですのでこの場合はお尻の奥のストレッチをするのが効果的です。
また、歩くときにつま先の向きを意識して、外に向かないような歩き方を習得するのも良いでしょう。
軟骨の変形について
関節の中には軟骨という組織があります。
この軟骨は骨を保護したり、関節を滑らかに動かしたりする働きがあるのですが、ずっと使っている少しずつすり減ってきてしまいます。
そしてすり減ってしまった軟骨は再生できないので、そのまま関節の変形が進んでいきます。
変形性関節症は膝や股関節によくみられますが、どこの関節でも起こり得ます。
外反母趾もかなり進行した状態だと軟骨がすり減って関節が変形している場合もあります。
この場合は元に戻すのは難しいので、上手く付き合っていく必要があります。
場合によっては手術などの選択肢も検討しないといけないかもしれません。
いずれにせよ、親指に負担がかかる要因を解消していくことが大切になります。
放っておいてもよくなる訳ではないので、早めに処置を開始することをお勧めします。