脳内神経伝達物質とは?

ヒトの脳の中では様々な神経伝達物質と呼ばれる化学物質が分泌されていてこれらが気分を作り出しています。
人類の歴史は30万年(〜40万年)と考えられていますが、その過程で生存し続けるだけでなく大きく進化できたのはこれら脳内伝達物質のおかげだとも言えます。

今回はこの中からドーパミンを取り上げてその働きとコントロール方法を紹介します。

ドーパミンの役割

ドーパミンの役割は色々ありますが、今回着目したいのは『やる気が出る』という点です。

ドーパミンが分泌されると快感を覚えやる気が出てきます。

しかしながらしっかりと健全な方法で生成されて分泌される必要があります。

脳内伝達物質の生成と分泌

脳は無数の神経細胞が集まってできていますが、神経細胞を一つだけ取り出すとこのような形になっています。


この中の神経細胞体でドーパミンは作られています。

これが軸索という長い紐のような部分を通って先の神経終末にある小さな袋に運ばれます。

分泌される時はこの袋から放出されています。

ドーパミンに限らず全ての神経伝達物質がこのようにして生成され分泌されています。

やる気に満ち溢れた状態の時は脳の中でドーパミンが沢山作られ、分泌されているのです。

ドーパミンの作り方

ではドーパミンはどうすればたくさん作れるのでしょうか?

それには激しいことをすれば良いことがわかっています。

勉強でも運動でも仕事でもなんでも構いませんが、自分にとって負荷の大きい事をすれば沢山作られます。
作られてそれが分泌されてくると快感を覚えるようになります。

例えば部屋の掃除など最初イヤイヤ始めたことでも徐々に楽しくなってきてエンジンがかかる経験は皆さん少なからずあるかと思いますが、それはドーパミンが作られ徐々に分泌され出しているからです。

やる気がなくなるのはドーパミンの分泌量が急降下した時ですが、急上昇するとそれに比例して急降下しますので、ドーパミンの生成は徐々になされるのが望ましい状態です。

ドーパミン中毒の怖さ

このように徐々に生成されて徐々に分泌されるというサイクルが好ましいドーパミンの使い方なのですが、これが一気に分泌されてしまうシチュエーションが日常に沢山あります。

ドーパミン分泌されると快感を覚えるので、もっともっと分泌したくなり同じ行動を繰り返す中毒性を秘めています。

ドーパミンが簡単にかつ急激に分泌されるのは喫煙、飲酒、そしてSNSのスクローリングなどの行動です。

これらを行うと急激に脳内でドーパミンが分泌されるので手っ取り早く快感を得ることができます。

そうなると抜け出せなくなりもっと分泌しようと同じ行動を繰り返すようになります。

このような状態はドーパミン中毒とも呼べますが、怖いのがこれらの簡単にできる行動でドーパミンを急激に消費してしまうことです。

こうなるとドーパミンの蓄えがなくなってしまうので、他に何もやる気が起きなくなってしまう危険性があります。

ドーパミンをコントロールする方法

ではドーパミンをうまく取り扱うにはどうすれば良いでしょうか?
ここでは三つの具体策を示してきます。

①スマホファスティング

要はスマホから離れる時間を作るということです。特に起床時すぐの時間にスマホを触ってしまうとうっかりSNSのスクローリングなどをしてしまうリスクがあります。

こうなると一気にドーパミンを消費してしまい、一日中やる気が出ない状況に陥るリスクがあります。

ですので朝にスマホから離れる時間を作るのは1日のリズムを作る上でも有意義です。

アラームはできればスマホとは別に用意してスマホは別の部屋で充電しておくのが良いでしょう。

起床後は歯を磨いたりベッドメイクをしたり、外に出て少し歩いたりして過ごすとこれらの行為でドーパミンが生成されます。

また散歩する時に音楽などを聞くこともあると思いますが、ドーパミンを作るには何も聞かない方が良いです。
というのもドーパミンは退屈に感じることでも作られるからです。

②フロー状態に入る

『フロー』とは1970年代にハンガリーの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念です。

これはゾーンと呼ばれたりもしますが、要するに今やっていることに時間を忘れるくらいに没頭している状態のことです。

こうした体験はドーパミンの分泌によりもたらされているので、意識的にフロー状態に入ることができれば健全にドーパミンの恩恵を受けることができます。

フロー状態に入るための条件としては『自分が少し難しいと感じることに取り組むこと』が重要になります。

自分のスキルレベルを客観的に把握した上で、ちょっと頑張ったらできる事に向き合う事です。簡単すぎると退屈に感じるし、難しすぎるとやる気がなくなるので、自分にかける負荷を適切に選択することが大切です。

はじめてすぐはやる気になれなくても適切な負荷であればドーパミンはしっかり生成されていますので、15分ほど続ければエンジンがかかってきます。生成から分泌まで時間差があります。

③冷たい水に触れる

冷水に触れるとドーパミンの分泌量が2.5倍になることも研究でわかっています。

タバコやアルコール、SNSのスクローリングなどが数分でドーパミンを急上昇させ、その後急降下するのと対照的に冷水に触れると2時間ほどかけてドーパミンの生成力が高まります。

これが冷水のシャワーが効果的な理由の一つですが、シャワーは難しくても冷たい水に触れて顔を洗うくらいでも良いと思います。

特に起床後すぐに冷水で顔を洗うと覚醒効果に加えて午前中のモチベーションを高めるのに効果があります。

人間の行動は脳が決めています。その脳の状態を決める伝達物質の一つがドーパミンです。
ですのでドーパミンの特徴を理解して上手く活用できれば日々の行動が変わります。
是非日々の行動に活かしてみてください。

まとめ

・脳内には神経伝達物質があり、これらの分泌度合いで気分が決まる。

・ドーパミンはやる気を起こす脳内伝達物質

・アルコールやタバコ、SNSのスクローリングなどはドーパミンを簡単かつ急激に分泌する。そして使い果たしてしまうとやる気がなくなる。そしてもっと分泌させようと同じ行動を繰り返すようになる中毒性を持つ。

・ドーパミンを作るには自分自身に負荷をかけること(退屈に感じる状態でも少し作られている)

・ドーパミンの生成と分泌を上手くコントロールするには
 ①スマホに触れない時間を作る
 ②フロー状態に入る
 ③冷たい水に触れる

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